浦安新聞連載コラム「家庭の法学」㉖親権者の決め方

五月

こんにちは。弁護士の矢野京介です。

未成年の子がいる場合の離婚で非常に問題となってくるのが「親権問題」です。

現在の日本の法律では共同親権は認められず、親権者を夫婦のどちらにするか決めなければ離婚することはできません。

今回は、親権が話し合いで纏まらず調停や裁判となってしまった場合、どのような基準で親権者が決められるのか、お話ししたいと思います。

親権者の決定基準として何よりも大切に考えられていることは「子の利益と福祉」です。

具体的にはどのようなことかというと、父母側の事情としては、監護能力や子に対する愛情の度合・従来の監護状況等が問題とされ、子の側の事情としては、年齢・性別・心身の発育状況・環境への適応性・子の意思・父母及び親族との情緒的結びつき等が問題とされます。

子が乳幼児である場合、母親の存在が情緒的成熟のために不可欠であるとの考えから、乳幼児の親権者は母親になるケースが多く子どもの年齢が15歳以上である場合、子の意思が尊重されます。兄弟姉妹がいる場合は、幼児期の兄弟を分離すべきではないという考えが強いようです。

女性の場合、「経済力がないでの親権がとれないのでは?」と心配される方も多くいらっしゃいますが、収入や資産などの経済的な条件はそれほど重要視されません。また、離婚の有責性が親権者を決める際、考慮されることもありません。

例えば、母親が浮気をして、それが原因で離婚に至ったとしても、親権者が母親になるということは大いにありえるのです。浮気をされた父親からすれば納得がいかないかもしれませんが、親権者を決める際に重要視されることは、あくまでも「子の利益と福祉」なのです。
親権がとれるか不安で離婚に踏み切れないという方は、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。

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