養育費について
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養育費とは?
離婚後に、子供を監護している親は、子供を監護していない親に対し、子供の養育に要する費用を請求することができます。
具体的には、子供にかかる衣食住の経費や教育費、医療費、娯楽費などですが、これを養育費といいます。
養育費と扶養料の違い
養育費とよく似た法律用語として「扶養料」という言葉がありますが、扶養料とは何なのでしょうか。また、養育費とは何が違うのでしょうか。
扶養料は、扶養義務者が扶養権利者に対して支払う義務があるとされる生活費等のことをいいます。養育費と扶養料はほとんど同じ意味合いですが、請求対象となる関係が異なるのです。
扶養義務は必ず親から子へ生じるわけではありません。民法877条によると「直系血族および兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。」としています。主な扶養料請求の利用場面は、すでに決まった養育費の支払いが完了した後になるでしょう。基本的に子どもが成年に達したら養育費の支払い義務はなくなるので、この時点でもう父と母の間で養育費を請求することはできなくなっています。しかし一方で、子ども自身が父(または母)に対して扶養料請求をすることは可能なのです。もちろん、一般的な扶養義務があることが前提です。子どもが成人となったが、大学生であり経済的に自立していないケースや、成人した子どもに障害があり自立できないケースなどで、子ども自身による扶養料請求が認められるというのが典型例です。
養育費に関するよくあるご質問
Q、養育費の支払いは、何時の時点で決めるのでしょうか?
離婚する際に決めておくのが一般的ですが、当事者間で、先に親権者を決めて離婚してから、あとで養育費を請求することも可能です。
Q、養育費は、いつまで貰えるのでしょうか?
原則として、子供が「20歳になるまで」です。
しかし、最近では、大学進学率が増えていますので、協議離婚又は調停離婚の際に、話し合いで、「大学卒業まで」と決める例も少なくありません。話し合いがまとまらず、裁判所が決める場合には、20歳になるまでしか認めないのが一般的です。
このため、養育費は、交渉で決めた方がよいのですが、交渉については、専門家である弁護士に委ねることをお勧めします。
Q、過去に遡って養育費を請求できるのでしょうか?
養育費は、原則として請求した時から貰えます。離婚して、しばらく経過してから請求しても、過去に遡っては貰えません。
ですので、適切な養育費をきちんともらうためにも、離婚時に、協議で養育費を決めておきましょう。
Q、養育費はいくらもらえるのでしょうか?
養育費の額は、負担する側の経済力や生活水準によって変わってきます。基本的には、必要経費を積み上げて合計するのではなく、双方の収入のバランスに応じて算定していきます。財産分与や慰謝料は一括で支払うのが原則ですが、養育費は、通常、毎月、定期的に支払っていくことになります。
裁判所が算定表を作成しており、調停や裁判になった場合、算定表の基準に基づけて算出されることが大半です。公表されていますので、「養育費・婚姻費用算定表」のキーワードで検索してみて下さい。
例えば、父の給与所得が年700万円、母の給与所得が年250万円、7歳の子供1人の家庭で、離婚後、母親が、子供を監護する場合、父親が払う養育費は4万円~6万円/月が目安となります。
ただ、算定表はあくまでも、基準のひとつです。私立学校に通っている場合、入学金が必要な場合など、状況に応じて必要な養育費は変わります。状況を踏まえ、適正な養育費を受け取るためにも、養育費の交渉は、弁護士に委ねることをお勧めします。
Q、私立学校の学費等は養育費として請求できるか?
養育費とは、子を監護養育していくのに必要な費用のことをいい、家賃や食費、被服費、学費、医療費などが含まれます。
裁判所における調停や裁判では、裁判所が作成する「養育費・婚姻費用算定表」に従い、双方の収入や子の人数、年齢などから養育費の金額を決めます。一般的に、養育費に含まれる教育費は公立学校にかかる費用を想定しているため、子どもが私立学校に通う場合、通常の算定表で算出された金額では、とても費用が賄えません。他方、あまりに高額な私立学校の費用を、無条件で養育費を負担する親(義務者)に負わせることが妥当でないこともあります。では、どのような場合に私立学校の費用を請求することができるのでしょうか。
子どもが私立学校に通うことについて、義務者が承諾している場合には請求できるケースが多くなります。また、承諾がなくても義務者の収入や資産状況からみて負担させることが相当と認められる場合には、私立学校の費用負担が認められる可能性があります。子どもが塾に通っている場合の塾代は、あくまでも任意に行う私的な学習ですので、基本的には養育費の増額は認められません。ただし、子どもが受験期にあって必要性が高い場合などは、義務者の承諾の有無や、義務者の収入、学歴、生活状況等を考慮したうえで、塾代の一定額を負担させたり、養育費を増額させたりすることもあります。
Q、養育費の一括払いは可能か?
相談を受けていると「養育費を一括でもらいたい」とおっしゃる方は少なからずいらっしゃいます。一括でもらいたい理由としては、元配偶者とできる限り接触したくない、養育費の支払いがきちんとされるか心配、といったことのようです。
確かに、養育費の不払いとシングルマザーの貧困については、しばしば問題にもなっており、一括でもらいたいと思われるのは当然かもしれません。しかし残念ながら、裁判などで裁判所が養育費を決める場合、一括ではなく毎月の支払として決められるのが原則です。
養育費というのは、相手の収入や生活状況の変化に伴い金額を増減させることが可能なものですので、現在の状況のみをもとに、将来の分も計算して一括払いというのは性質上難しいのでしょう。
もちろん、当事者間の話し合いで「一括払い」の合意ができれば、養育費を一括払いにすることは可能ですが、この合意が成立するのは非常に稀です。最大の理由は、資金面で不可能だからです。当事務所で、実際、養育費の一括払いの取り決めをした方はいらっしゃいましたが、その合意に至るまでは、かなりの時間を要しました。
また、子どもが成人間近であったことも合意に至った理由かと思います。養育費の一括払いは、子が成人間近であるとか、計算上の総額から何割か減額して合意をするといった事情がないと、なかなか難しいところです。
Q、養育費は扶養控除の対象になるか?
子どもの親権を妻が取得し離婚した場合、子どもと生計を一つにしているのは妻であるため、離婚後の年末調整では、妻が子どもの扶養控除を利用し、夫側は子どもの扶養控除を受けることができなくなるというのが一般的です。では、夫が子どもに対し養育費を支払っている場合、夫は扶養控除を受けることはできるのでしょうか。
扶養控除の適用の可否について、対象家族との「同居」は必須条件ではありません。別居していても「扶養している実態」があれば扶養控除を受けることができますので、離婚した夫が子どもに養育費を支払っている場合、実質的に「子どもを扶養している」として、扶養控除を受けることは可能です。ただし、養育費を一括で支払った場合、日々の生計を支えているとみなされず、扶養控除を認められない可能性がありますので注意が必要です。
また、ひとりの扶養家族は、ひとりの納税者の税額控除にしか適用できません。父親と母親双方が、ひとりの子どもを被扶養者として控除対象にはできないのです。ですから、どちらも扶養控除を希望する場合、話し合ってどちらに適用するか決める必要があります。
養育費の扶養控除の問題は、離婚後に改めて話し合いをするとなるとトラブルになる可能性もありますので、離婚前の段階で決めておくことが大切です。また、離婚後新たに適用できる控除も存在しており、その控除の内容は男女によって異なります。
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