浦安新聞連載コラム 「家庭の法学」⑨ 会社経営者の離婚問題
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こんにちは。弁護士の矢野京介です。
今回は、中小企業の経営者の離婚を取り上げます。
会社経営者が離婚する場合、会社の資産と個人の資産の区別が曖昧であったり、妻が会社の事業に関与していたりすることなどから、考慮しなければならない特有の問題があります。
まず、会社の資産は財産分与の対象となるのでしょうか?
会社の資産と社長個人の資産は、別ですから、原則として、会社の資産は財産分与の象とはなりません。
ただし、家族経営の零細企業のような場合などには、会社の資産も夫婦の共有財産と評価され、財産分与の対象となることもないとはいえません。
このあたりは、理屈では論じられない感覚的な判断になってきます。
次に、妻が会社の取締役や従業員になっている場合、離婚に伴い辞めさせることはできるのでしょうか?
夫婦の問題と会社の法律関係は、全くです。妻と離婚するからといって、正当な理由なく妻である取締役を解任したり、妻である従業員を一方的に解雇したりすることは難しいです。
従って、離婚協議の際に、話し合って、自主的に辞任、辞職してもらう必要があります。また、妻が役員として、会社に貸し付けをしている場合には、それも返済しておく必要があります。
さらに、妻が会社の株式を保有しているような場合、株主は、会社の経営に関する色々な権限を持っていますし、妻の保有する株式を強制的に取得する手続きも大変煩雑です。
離婚協議の際に、話し合って、会社経営者に譲渡してもらうべきです。
このように、会社経営者の離婚問題は、身分上の問題にとどまらない諸々の問題を含んでいますので、企業法務と離婚の両方に通じた専門家に相談されることをお勧めします。
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